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宇宙へ行く折り紙:NASAも注目する「折り」のテクノロジー

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orimemo編集部
宇宙へ行く折り紙:NASAも注目する「折り」のテクノロジー

「折り紙」と聞いて、NASA(アメリカ航空宇宙局)を連想する人は少ないでしょう。 しかし現在、NASAのジェット推進研究所(JPL)をはじめとする宇宙開発の最前線で、折り紙の研究者が熱心に働いていることをご存知でしょうか?

彼らが研究しているのは、鶴や奴さんの折り方ではありません。 「いかにして巨大なものを小さく畳み、宇宙で確実に広げるか」 という、極めて実用的な工学技術としての折り紙です。

宇宙開発最大の課題:スペース(空間)がない!

宇宙開発において、最もコストがかかり、制約となるのが「ロケットへの積載」です。 ロケットのフェアリング(先端の収納部分)の直径は、数メートルしかありません。 しかし、宇宙空間で使う太陽光パネルやアンテナ、ソーラーセイル(宇宙ヨットの帆)は、数十メートル、時には数百メートルもの大きさが必要になります。

この「巨大な平面を、小さな円筒形のスペースに収納する」という難題を解決する鍵が、折り紙だったのです。

ミウラ折り(Miura-ori)の革命

この分野の先駆けとなったのが、日本の宇宙科学者・三浦公亮氏が考案した「ミウラ折り」です。 地図の畳み方としても知られるこの構造は、以下の画期的な特徴を持っています。

  1. ワンアクションで展開・収納: 対角を引くだけで全体が広がり、押せば一瞬で畳める。
  2. 破れにくい: 折り目の交点が4本の線で構成されているため、紙(素材)への負担が少なく、繰り返し開閉しても劣化しにくい。

この技術は、1995年に打ち上げられた日本の宇宙実験衛星「SFU」の太陽電池パドルに実際に採用され、宇宙空間での展開実験に成功しました。

スターシェードと花弁折り

現在、NASAが計画している「スターシェード」プロジェクトでも、折り紙の技術が使われています。 これは、遠くの恒星の光を遮り、その周りを回る惑星(地球外生命体がいるかもしれない惑星)を観測するための巨大な「日傘」のような装置です。

直径数十メートルの巨大な花のような形をしたスターシェードを、ロケットに載せるために小さく折り畳む。 ここで使われているのが、折り紙の「花弁折り」や「ねじり折り」を応用した技術です。 円盤状のシートを、花ぼうきのように細長く螺旋状に巻き取ることで、コンパクトな収納を実現しています。

医療や建築へも広がる応用

宇宙だけでなく、私たちの身近なところでも「折り紙工学」は活躍しています。

  • 医療: 血管の中で広がるステントグラフト(人工血管)。小さく折り畳んでカテーテルで患部まで運び、そこで拡張させます。
  • 建築: 必要に応じて開閉できるドーム球場の屋根や、仮設住宅の構造材。
  • ロボット: 柔らかい素材でできた「ソフトロボット」の筋肉として、折り紙構造の伸縮を利用する研究。

まとめ

一枚の紙を折るという単純な行為が、人類を宇宙の彼方へ連れて行く翼になる。 折り紙は、日本が世界に誇る伝統文化であると同時に、未来を切り拓く最先端テクノロジーでもあります。

夜空を見上げたとき、そこにある人工衛星の翼が、あなたが手元で折っているその紙と同じ原理で動いていると想像してみてください。 折り紙の持つ無限の可能性に、ワクワクしてきませんか?

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orimemo編集部

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